コロナによる若者の損失を取り戻せ! |
コロナの影響が至るところに現れております。
その中で、とりわけ若者たちが被った損失を、最小限に喰い止めたい思いで、質問趣意書を12月3日に議長に提出。
主題は「次世代への支援強化について」。
以下、全文を掲載します。
【長期欠席およびひきこもりへの対応について】
長期欠席およびひきこもりの状況は、コロナ禍がさらに拍車をかけたと認識しています。
例えば、全日制の公立高等学校の長期欠席の生徒数は平成29年度の4,706人から、このところ高止まり傾向にありましたが、令和2年度神奈川県児童・生徒の問題行動・不登校等調査の結果では、新型コロナウイルス感染回避の数を加えると、長期欠席者の数が6,589人となりました。また、小・中学校でも平成29年度の長期欠席者数15,947人が令和2年度には20,582人となりました。
コロナ禍において長期欠席の数が増加していますが、長期欠席は、そのまま、ひきこもりに移行してしまう恐れがあるのではないかと憂慮しています。
現在、「教員の働き方改革の推進」も課題とされている中、こうした状況に学校の教員だけが対応することには限界があるのでは、とも考えます。
そのため、県教育委員会では、学校に対して新型コロナウイルス感染症対策として、令和3年度当初予算でも、スクールソーシャルワーカー及びスクールカウンセラーの事業費を拡大しながら、「教育相談体制」を充実させ、その対応にあたっています。また、業務アシスタントやスクール・サポート・スタッフ等を配置し、教員が子どもたちと向き合う時間を確保するための対応も行っていると承知しています。
また、公立小・中学校においては、各市町村教育委員会が不登校の子どもの学びの場として教育支援センターを設置していますが、同調査結果によると、令和2年度長期欠席者のうち不登校の児童・生徒14,267人であり、この教育支援センターで相談・指導を受けた児童・生徒は1,095人であったとのこと。しかし、その後、継続的に通えているかどうかは、この調査では不明だそうです。こうした場の積極的な活用が必要と考えます。
さらに、同調査によると、教育支援センターで相談・指導を受けた児童・生徒は、不登校の児童・生徒数のわずか7.7%です。残りの92.3%の児童・生徒には、教育支援センターはアプローチ出来ておりません。
また、県内各地域には不登校の子どもやひきこもりの方の居場所、相談先として様々なフリースクールやフリースペースといったNPOなどの民間団体が活動されています。
県教育委員会では県学校・フリースクール等連携協議会を平成18年2月に設置し、フリースクール等と連携を図ってきたと承知しています。増加し続けている不登校の児童・生徒に対しては、学校の機能を補完する役割を担っているフリースクール等との連携は今後においても必要です。
また、現在のフリースクール等に対する支援やひきこもりの若者への支援は、決して充実した政策ではないと感じています。不登校対策は、将来のひきこもり予防対策とも言えるため、不登校の児童・生徒を受け入れ、学校を補完する体制ともいえるフリースクール等への支援については、充実する必要があります。公的な言わばセーフティーネットとすることが必要なのであります。こうした点も含めて、若者に対する支援の強化を期待しています。
●そこで、教育長に伺います。
教育支援センターやフリースクール等と連携した長期欠席・不登校対策の取り組みを強化すべきと考えますが、教育長の所見を伺います。
●次に、知事に伺います。
長期欠席をきっかけとして、ひきこもり状態が続くことがないよう、こうした若者に対する支援を徹底的に強化すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
【高校卒業後の学びの支援について】
コロナ禍以降、高校卒業後の若者に対して、文部科学省では「新型コロナの影響を受けた学生等の経済支援」を行っており、本県でも高校卒業後の進路についての情報を発信するとともに、高等教育の修学支援新制度の周知を通じて若者たちの学びの継続を支援していると承知しています。
現役の大学生にヒアリングしたところ、昨年度から学友が大学を去るケースが相次いでいる、とのことです。
事情を訊くと、経済的に不安定な若者たちにとっては、けっして十分な支援内容ではないため、学生生活で負債を抱え込んで、将来に不安を持ち越すよりも、中退を選んだ方がまだまし、という考えに至ったそうです。
仕送りだけでは生活が成り立たない若者の場合、コロナの影響で学生アルバイトの雇用先である飲食店やカラオケ店での勤務も減り収入は激減し、にっちもさっちも行かないのが彼らの現実なのです。
協力金で潤っている一部の事業者が存在していたり、雇用調整助成金等で労働力が休眠状態である一方で、未来を担う若者たちには冷たく厳しい現実があります。
これらのことは、全庁で認識していただくと同時に、学びを継続したい高校卒業後の若者に対する支援の検証を行い、不十分であれば本県独自の支援強化策を検討するよう、要望しておきます。
今回の大学生へのヒアリングで感じたのは、この問題は大学生に限らず高校生も同様ではないかということです。コロナ禍で経済的な余裕がなくなり、大学や専門学校等への進学をあきらめた高校生もいるのではないでしょうか。
こうした未来を背負う若者たちが進学をあきらめることがないよう、大学や専門学校に通う学生を支援する高等教育の修学支援新制度が創設されました。
本制度について、県は、専門学校に通う学生を対象として、授業料等の減免に対して、一定額の負担を行っておりますが、より一層の取り組みが必要です。
●そこで知事に伺います。
コロナ禍において経済的に困窮する中にあっても、安心して進学し、学びを継続するために、本制度の十分な周知・活用が重要であると考えますが、知事の所見を伺います。
以上です。
今回は、知事と教育長に回答を求めております。
答弁書は、12月17日に戻ります。
またご報告いたします。